コトオヤネットさっぽろ

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「もうひとりの親」がいます

離婚後の親子というと、多くの人々は、子どもを引き取った側の母子・父子家庭をイメージしがちです。実際、行政や社会的支援も母子・父子家庭ばかりに目が向いています。しかし、その陰に隠れて、離婚後も子育てをしたくてもできなかった、会いたくても会わせてもらえなかった、「子どもと引き離された親」、「親と引き離された子どもたち」がいます。その存在は、社会的にもほとんどかえりみられることなく、深刻な問題が表面化されることはありませんでした。 離婚が急増している今日、毎年27万組の離婚があり、その内、親子が引き離されるのは年間16万組にのぼります。不登校の子どもたち(小中学生)が年間13万人ですから、その数はけっして少なくはありません。

他の国ではどうなってるの?

日本以外の主要先進国では、そのような親と子の不当な引き離し行為は、子どもへの虐待として刑法で対処される犯罪行為となっています。先進諸国中、離婚後父母どちらか一方にしか親権が与えられない(単独親権制度)国は日本だけです。他の多くの国々が、離婚後も父母双方が親としての権利義務を果たすよう制度化されています(共同親責任)。
ドイツ
 「親権」という言葉には、親が子どものことを勝手に決めてよいというイメージがあるために、「親の配慮」という言葉で離婚後の原則共同子育てを規定しています。
カナダ
 たとえ親が殺人をおかして服役中でも、離婚後も子どもとの面会が継続されます。
イギリス
 全国に面接交渉センターが設置され、行政が積極的に支援しています。
フランス
 「離婚は親権の行使に影響を与えない」と法律で明記しています。
アメリカ
 ”離婚先進地”のアメリカでは、18歳以下の子どもを持つ親の離婚は、裁判所に「子どもの養育プラン」を提出し、子どもの養育費用や面会交流についてきちんと取り決めがなされ、裁判所命令として離婚が認められ成立します。どちらか一方がその取り決めを守らなかった場合、法廷侮辱罪に問われることもあります。 さらに、「離婚は夫婦関係の解消であり、親子関係の断絶ではない」という考え方から、親同士の争いに子どもを巻き込むことのないよう、「親教育プログラム」を受けることを義務付けています。相手親の誹謗、中小をして、子どもを相手親から引き離そうと”洗脳”することは、してはいけない行為だということも、そのプログラムで学びます。 面会交流のガイドラインもあります。親同士の争いが深刻で当事者間で連絡調整が不可能な場合、あるいは家庭内暴力等がある場合には、父母当事者間の連絡調整や、安全な面会場所の確保、子どもへの付き添い等のサービスを行う民間非営利団体を行政が財政的に支援し、「離婚後の親と子の原則不分離」を貫けるよう、さまざまな法整備や支援体制があります。

離婚しても子どもと会える、暮らせる社会を

このように離婚後の子どもをめぐる争いは、「奪った者勝ち」です。親権を失えば子どもを奪われるかもしれないという恐怖から、単独親権をめぐる争いは年々熾烈になっており、年間16万組の親子が離婚後「生き別れ」を余儀なくされています。 こういった日本の現状は、アメリカより50年遅れているとさえ言われています。子どもは親の所有物ではありません。離婚とは妻と夫の関係性の解消であって、子どもと親の関係性を断ち切ることではありません。離婚後も、どちらの親にも子どもを養育する権利と義務があるのです。 「親と子の引き離し問題」は当事者たちだけの問題では決してありません。今後いっそう社会問題化していく「離婚と親子」というテーマを、社会や人々がどう受け止め、支援し、個々の豊かな親子関係を築いていくかという問題なのです。

片親を引き離すのは子どもへの虐待です

離婚後、子どもを引き取った親が、もう片方の親を子どもから引き離す行為。日本では、この行為が子どもへの虐待であり、もうひとりの親に対する人権侵害であるという社会的認識がほとんどありません。 子どもの親への愛情は無条件の愛情です。子どもは父親も母親も共に深く愛し、同時に深く必要として育ちます。その子どもにもうひとりの親を会わせないことは、子どもの成長過程において、とても深い心の傷を負わせてしまいます。激しい怒りや抑うつ、自分を責めたりなど、多くの負の感情を心の底に沈めたまま生き延びるほかないのです。 また、親の子どもへの愛情も、無条件の愛情です。親は子どもを深く愛し、同時に深く必要として共に行きていくものです。愛する子どもを突然引き離された親にとって、その体験は、誘拐や拉致に等しいほどのすさまじい精神的苦痛を与えるものであり、アルコール依存症や失業、または自死へと走らせる要因にもなっています。

日本の現状は…

日本の現状は、法整備の不備や社会的支援体制の貧しさから野放し状態となっており、もっとも大きな苦痛を強いる子どもの権利はなきに等しい状態です。 日本は1994年に子どもの権利条約を批准しています。第9条には「締約国は、子どもの最善の利益に反する場合を除き、父母の一方または双方から引き離されている子どもが、定期的に父母のどちらとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」とあります。 しかし、国内法である日本の民法は、離婚後父母どちらか一方に親権を与える単独親権制度となっており、子どもと親との面会交流の規定もありません。離婚後、非親権者は、法的には親ではなくなってしまいます。面会交流を支援する民間非営利団体も少なく、それらへの行政的支援もありません。 離婚調停の現場でどんなに自分の子どもに会いたいと主張しても、裁判官や調停委員は、「子どものためにも今はそっとしておいてあげた方がよい」「子どもはやっぱり母親に育てられた方がいい」「経済的なことを考えると父親に預けておいた方がよい」「子どもが大きくなるまではこのままに」といった現状追認の説得ばかりされます。子どもの権利という視点から原則不分離を父母の両者に理解してもらうという姿勢はほとんどありません。 さらには「慰謝料や養育費を◯◯円支払わなければ子どもと会わせない」とか、「離婚が成立したら子どもに会わせる」、といった子どもを人質にして離婚の弁護をする人権感覚のない弁護士もいます。子どもが親の離婚の道具にされているのです。

「生き別れ」になる親と子

離婚後、親権をもたない親が学校や保育園に自分の子どもを迎えにいくと、学校や保育園から警戒され、「親権者の許可がないと子どもに会わせられない」と言われたりします。これは、「非親権者差別」です。 社会的風潮として、子どもに会えないのは、会えない親の方に原因があるとみられがちです。また、子どもに会えない親は、会えないわが子のことを口に出すことがあまりにつらく孤立させられます。信頼関係がなくなった別れた相手と、子どもをめぐる熾烈な争いをすることに疲れ果て、精神的にも追い込まれ、子どもと会うことを一時的にでもあきらめなければ生き延びることができない親もいます。 同居する親の心情を察して、もうひとりの親に会いたいのに「会いたい!」と言えずに生き延びる子どもたちもいます。親同士の熾烈な争いを目の当たりにして深く深く傷つく子どもたちもいます。 子どもを会わせない親は、子どもを人質にとっているようなものであり、子どもを奪われた親は、相手親に対して卑屈にならざるを得ません。非親権者が子どもに会う会わないを決める権利はなく、親権者が会わせる会わせないを決めているのです。

こんな活動をしています

  • 離婚後の共同親責任(親権)や子どもとの面会を法制化するための、各関係機関への働きかけ
  • 当事者同士が時間を分け合い、その体験や感情に耳を傾け合うピアカウンセリングによる助け合い
  • 当事者の体験と情報を分かち合ったり、離婚後の共同親責任や面会交流の実現をめざしたニュースレター「コトオヤ」を季刊発行
  • 子どもと会えなくなった親からの相談受付や情報提供、学習会等の開催
  • 家庭裁判所の運用の改善、調停委員や離婚弁護士への意識啓発など、社会への理解を求める啓蒙活動

全国団体のご紹介

全国団体では、離婚後の共同親権や面会交流の法制化を求めて国会への働きかけや、裁判所への運用改善を求めた活動、地方の当事者団体支援などの活動を行っています。

共同親権運動ネットワーク(略称:Kネット)
連絡先:国立事務所 〒186-0013 東京都国立市青柳3-10-8-103
TEL/FAX:03-6226-5419(平日水曜以外 午前9時~午後7時)
メール info@kyodosinken.com ホームページ http://kyodosinken.com/

■親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(略称:親子ネット)
連絡先:〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-12 渋谷ジョンソンビル4F S100489
メール info@oyakonet.org ホームページ http://oyakonet.org

活動してもらえる仲間と支援者を募っています

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寄付金…1口1,000円(何口でも結構です)

 
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