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札幌家庭裁判所委員会あてに要望書提出

札幌家庭裁判所委員会あてに要望書提出

 去る11月21日に札幌家庭裁判所委員会が開催されました。今回の大きな議題は「子どもを巡る紛争について」でした。

そこで、以下のような要望書を提出して、今後の家裁事務運営に役立ててほしいと要望してきました。

 

2013年11月21日

 

札幌家庭裁判所委員会委員長 孝橋宏 様

 

 

離婚後の共同子育て社会の実現にむけた家庭裁判所のあり方についての要望書

コトオヤネットさっぽろ 代表 カタラン菊之進

 日頃より、子どもの福祉、および、子どもの最善の利益を目指した家裁業務にご尽力いただき感謝申し上げます。

 離婚後の子どもの養育や面会交流をめぐる調停件数の増加と紛争の激化、年間推定16万人の子どもたちが片親から引き離されているという社会背景、および「子どもを片親から引き離すという虐待事件を防止しなければならない」という子どもの福祉への社会理解の高まりから、2011年には民法766条が改正され、離婚をする際の取り決め事項として、「子の監護をすべき者」のほかに、「父又は母と子との面会及びその他の交流」、「子の監護に要する費用の分担」という文言が挿入され、昨年4月から施行されました。また、家事事件手続法が改定施行され、面会交流の促進と、「当事者としてふさわしい適切な手続保障」が求められるようになりました。

 さらに、国際離婚における片親による子どもの奪取を防ぐための「ハーグ条約」の加盟も決まり、来年4月から施行されようとしており、現在、国内法の整備が進んでいるところです。

 このように日本の家庭裁判所においても、「子どもの最善の利益」を重視した家事調停、審判のあり方がよりいっそう求められるようになってきました。

 このような社会の流れを家庭裁判所にも反映していただくために、11月21日に開催されます家庭裁判所委員会においても議題としてとりあげていただき、率直な意見交換、ご討議をしていただきたく、以下のことを要望いたします。

1)「子どもの最善の利益」を重視し、子どもは別居親と面会交流することを原則とし、その面会交流とは「別居親の子育ての時間、子どもが別居親と定期的に過ごす時間」であるということを前提とした双方の親への啓発、調停実務にあたってください。

 従来の家庭裁判所の面会交流についての考え方は、単独養育を前提に、別居親とは「交流」さえあればいいという消極的な考え方でしたが、政府による男女共同参画社会、男性の育児への関わりが積極的に推し進められようとする中、離婚後も共同子育て社会を目指した取り組みが求められています。

 婚姻中に毎日のように子どもと顔を合わせていた父親、母親が、離婚後も、子育てを断絶させられることなく、対等に子育ての権利と義務を負うことは、「子どもの最善の利益」を考える上で、とても大切なことです。

2)子どもを人質とした交渉をさせないようにしてください。

 親同士が子どもの養育のあり方で争っている場合には、子どもの身柄を確保している同居親の方が圧倒的に有利な立場にあり、対等・公正な話し合いが困難になります。

 たとえそれが相手親の同意のない一方的な連れ去り(誘拐)であっても、現状の家庭裁判所の考え方では、現状追認をするばかりです。

 また、調停で双方が条件を出し合った場合には、子どもとの面会までもが、駆け引き(子どもを会わせることを条件に離婚の成立や慰謝料・養育費の増額要求など)の材料とされ、いわゆる“人質交渉”がまかり通っています。

 「離婚は父親と母親の離婚であって子どもとの離縁ではない」を原則に、どうすれば離婚後も双方の親が、対等に子育てを担っていくのか、いけるのかという方向性に導く取り組みが必要です。

3) 調停では、まず最初に「子どもの養育プラン」を作成し、双方の親が子どもの養育に対して対等に責任をもつようにしてください。また、子どもの養育についての調停はいたずらに長引かせることのないように迅速に進めてください。

 子どもの養育に関する決めごとが、家裁の離婚調停の中で一括して行われるために、面会交流や養育時間、養育費等が、離婚条件の取引材料となったり、離婚の調停が優先されるあまり、一番肝心な子どものことが後回しにされる傾向にあります。共同子育てに必要な、養育時間や経済的な分担など、親子関係に関することがらを、「子どもの養育プラン」として一括して、先に扱うことにより、双方の親が子どもの養育に対して対等に責任をもてるよう促す必要があります。

 また、子どもの養育についての調停は、長引かせることなく迅速に進めることで、子どもと別居親とが断絶させられてしまうことのないようにしてください。

4) 子どもの居住については、双方の親の交代居住を可能とし、子どもの養育時間は、少なくとも国際基準の年間100日以上を原則としたガイドラインを策定して下さい。

 現状の家庭裁判所では、月に1~2回、1回2時間程度の面会交流としていますが、この基準には、離婚後も双方の親が子どもの養育の責任を負うための合理的な根拠は何もないばかりか、専門家が過去に発表している子どもの心理研究や発達心理の研究成果も全く取り入られていない時代錯誤の基準です。このことは結果として、家庭裁判所が子どもと親とを引き離すことにもなりかねません。

 双方の親の権利・義務として、子どもの居住については、双方の親の交代居住を可能とし、年間100日(隔週宿泊付き、長期休暇は半分づつ)以上が確保された中で、現実を反映して養育日を増減させるようなガイドラインを早急に策定してください。

5) 「親教育プログラム」を実施するようにしてください。

 離婚後の共同子育て社会を実現する上で、離婚した当事者である双方の親に対して、調停や審判の過程の中で、「子どもの最善の利益」とは何かを理解してもらうために、欧米等で実施されている「親教育プログラム」は必要不可欠です。

 現在、同居親による「片親疎外」(相手親への憎しみや怒りといったネガティブな感情を子どもに繰り返し言うことで、子どもと親とを引き離す心理的抑圧)は深刻な問題となっており、別居親と子どもを引き離す手段として、子どもの成長に大きな影響を及ぼしています。

 子どもの前では相手親の悪口や批難をしない、片親の同意のない子どもの連れ去り別居は、親による実子誘拐犯罪であるとの認識をもってもらう、養育費はきちんと支払うことなどの基本的なことから、子どもの養育を通しての相手親とのアサーティブなコミュニケーション(積極的自己主張)方法のやり方など、「親教育プログラム」の内容はとても重要なことばかりです。

6)当事者の声を直接聞く研修を実施するようにしてください。

 家庭裁判所委員会において、また調停員、調査官、裁判官を対象にして、子どもと引き離された母親や父親、また、子ども時代に離婚で親から引き離された体験をもつ当事者をゲストスピーカーとして招き、その話をきいていただく研修会を開催して、今後の家庭裁判所のあり方を探る機会として、また調停・審判の実務に当事者の声を生かせるようにしてください。

 特に、子どもの養育については、調停や審判の結果が、その後の子どもの養育にどのような影響を与えるのか、実際の面会交流、共同子育てはどのように行われているのか、当事者の声を聞くことであきらかになります。少年事件と同様に、当事者の体験を聞くことで、調停や審判の実務に役立たせることができます。

7)離婚後の子どもの養育に関する海外の事例を調査、研究し、「子どもの最善の利益」とは何かということを研修する機会をもってください。

 日本は「子どもの権利条約」を批准している国です。第9条には「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。」第18条には「締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。」となっています。

 離婚後の共同子育ての先進地である欧米各国は、この「子どもの権利条約」の批准に相伴って、離婚後の子どもの養育を、片親による養育から、子どもを片親から引き離さない共同子育てへとその社会制度をシフトしてきました。

 欧米各国の離婚後の共同子育てを支える調停・裁判制度を調査研究することで、多くのことを学ぶことができ、それが日本の共同養育のための社会支援制度を整備していくことにつながります。

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